極上のミステリー小説『方舟』(著者:夕木春央)あらすじ、ネタバレ解説・考察、感想・レビューを紹介。Amazonで無料で本を楽しむ方法も!!【2023年本屋大賞7位】

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「この衝撃は一生もの」

毎日同じことの繰り返し、何か「あっっっっっ」と驚くようなことないかなと思っている方、このミステリー小説『方舟』を読むことをおすすめします。

『方舟』のどんでん返しは、背筋のゾッとする絶望とともにやってくる傑作です。

私は『方舟』をAmazon Audibleで通勤中に聞いていたのですが、最後のどんでん返しに思わず「えーーー」と声を出してしまい、道ゆく人に怪しい目で見られてしまいました・・・。

こんな場所で声を出してはいけないなという理性が追いつかないくらい、驚きなのです。

本記事では、『方舟』のあらすじとネタバレ解説・考察、感想について、私が読んで感じた魅力を余すことなく伝えていきますが、

『方舟』を全て読めて、このミステリーがすごい!2023年版に選ばれた『爆弾』や『捜査線上の夕映え』などの人気本も

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小説『方舟』とは

作者夕木春央
出版社講談社
発売日2022.9.8
ページ数304ページ

『方舟』は数々の賞を受賞しています。

「週刊文春ミステリーベスト10」&「MRC大賞2022」堂々ダブル受賞!

その他ミステリーランキングにも続々ランクイン!

本格ミステリ・ベスト10 2023 国内ランキング(原書房) 第2位
このミステリーがすごい! 2023年版 国内編(宝島社) 第4位
ミステリが読みたい! 2023年版 国内篇(早川書房) 第6位
ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2022 小説部門(KADOKAWA) 第7位

2023年の本屋大賞にもノミネートされました。

これだけ、注目されている小説になっています。

『方舟』の読み方は?

『方舟』は「はこぶね」と読みます。

『方舟』の作者夕木春央について

2019年、「絞首商会の後継人」で第60回メフィスト賞を受賞。同年、改題した『絞首商會』でデビュー。
近著に『サーカスから来た執達吏』がある。

『絞首商會』も『サーカスから来た執達吏』も大正時代を舞台にした本格ミステリ作品ですが、『方舟』は現代を舞台にした作品になっています。

小説『方舟』の登場人物

『方舟』の登場人物を紹介します。

閉鎖空間で起きた殺人事件の犯人がこの中にいます・・・・。

【大学の時のサークル仲間】

  • 越野柊一(こしのしゅういち):主人公。システムエンジニア
  • 西村裕哉(にしむらゆうや):地下建築の発見者で今回の集まりの発起人。アパレル系勤務
  • 絲山隆平(いとやまりゅうへい):ジムのインストラクター
  • 絲山麻衣(いとやままい):幼稚園の先生。絲山隆平と結婚
  • 高津花(たかつはな):事務の仕事
  • 野内さやか(のうちさやか):ヨガ教室の受付

【矢崎家】

  • 矢崎幸太郎(やざきこうたろう):電気工事士
  • 矢崎弘子(やざきひろこ):矢崎幸太郎の妻
  • 矢崎隼斗(やざきはやと):高校一年生。矢崎夫妻の息子。

【探偵役】

  • 篠田翔太郎(しのだしょうたろう):越野柊一の従兄。頭が切れる。

小説『方舟』のあらすじ(ネタバレなし)

9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?

大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。

タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。

ここからネタバレなしのあらすじを紹介します。

地下建築「方舟」に閉じ込められる

地上からマンホールのような出入り口を10メートルほど下りてやっと地下1階にたどり着く地下建築。

地下3階までありますが、3階は水没しています。

長い廊下の両側に10部屋ずつあり、中には拷問部屋もあります。

元々は過激派とか新興宗教が使っていたようです。

地震の後、巨大な岩に鉄扉を塞がれてしまい、出られなくなってしまいます。

しかし、助かる方法が残されていました。

それは、巨大な岩に鉄の鎖が巻きつけられているため、地下二階の巻上げ機の操作で岩を落下させられるのです。

しかし、大きな問題が・・・。

巻上げ機を操作した人間はそのまま地下二階に閉じ込められてしまう構造になっているのです。

巻上げ機を操作した人間は、脱出できなくなり、地震の影響でじわじわと上がってくる水位にやがて飲まれてしまうのです。

さぁ、誰が巻上げ機を操作するのか・・・。

第一の殺人

この難問に立ち向かおうとした時に第一の殺人が起きます。

殺されたのは裕哉。

ロープを使った絞殺でしたが、犯人の手がかりになるものは何一つ残っていませんでした。

一体なぜ裕哉を殺したのか、犯人の意図が全く分かりません。

そして、この事件後残された9人は「裕哉を殺した犯人が生贄になるべきだ」という結論に達します。

第二の殺人

地震から3日目。

次に殺されたのは、野内さやかでした。

死体に首がないという実に惨たらしいものでした。

なぜ、首がなかったのかはすぐに探偵役の翔太郎が解明します。

さやかのスマホの中に犯人とって都合の悪いものがあり、顔認証でスマホのロックを外すことができないようにするためです。

ただ、それ以外にも謎がたくさん残っています。

犯人がわざわざさやかの胸にナイフを突き立てた理由と犯人が床に飛び散った血を拭き取るのになぜ、わざわざ遠くにあるウェス(掃除用の薄い布)を使ったのか。

不可解な行動の謎が残っていました。

第三の殺人

殺されたのは矢崎幸太郎。

矢崎は地下二階に凶器のナイフが隠されていることに気づき、身を隠して犯人を待ち伏せしていたのです。

地下二階は腰のあたりまで浸水していたため、ガスボンベを使用し完全防水のスマホで犯人を撮影しようとしていたのです。

しかし、失敗して枝切りバサミで一刺し。

この殺人が今までの殺人と違うところは、犯人にとって想定外の突発的な殺人であったということ。

そのため、焦って引き返した時に爪切りと、それを入れていたチャック付きの透明なビニール袋を下ろしていったのです。

これは裕哉の遺品でした。

なぜ、こんなものを持ち出していたのでしょうか?

この時点で残された時間は24時間。

犯人を見つけ、犯人が自分の命と引き換えに残りの人たちを助けてくれるのでしょうか?

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小説『方舟』のネタバレ解説・考察、犯人は誰?

ここからは、結末のネタバレを含みます。

「一生ものの衝撃」を手にいれるためにも、未読の方は絶対に読まないでください。

翔太郎の推理と犯人

第一の殺人は犯行動機以外解くべき謎がないため、第二の殺人から推理していきます。

推理1:犯人はなぜウェスを使ったのか

第二の殺人で犯人はわざわざリスクを冒してまで、皆がいる地下1階までウェスを取りに行きました。

飛び散った血を拭き取るのであれば、簡単に手に入る雑巾で充分です。

犯人はウェスを血を吹くとる以外に使ったのです。

犯人はドアから漏れ出す蛍光灯の光を不審に思われないために、ウェスをドアの隙間に差し込んだのです

このことが犯人を絞る重要なポイントになります。

なぜなら、明かり漏れを防ぐには一般的にはテープを使って目張りするというベターな方法があるからです。

地下二階にはテープ類はいくらでもあります。

そのため、犯人はなんらかの理由でテープが使えなかったのです。

テープ類があると知らなかったのは、隆平と麻衣でした。

推理2:犯人はなぜ爪切りと小袋を持ち出していたのか

本当に重要だったのは爪切りではなく、チャック付きのビニール袋でした。

第三の殺人が起きた時にはすでに地下二階は腰の高さまで浸水していました。

犯人は照明として使うスマホを自ら保護するためにチャック付きのビニール袋が必要でした。

このことから犯人はスマホが防水タイプではないことがわかります。

隆平のスマホは防水タイプでした。

犯人は麻衣だったのです。

犯人の犯行動機

麻衣は犯行動機をこう説明します。

この極限状態で、殺人の罪を隆平になすりつけ、この世で最も惨たらしい死を隆平に与えようとしていたのです。

麻衣は隆平との結婚生活がうまくいっていませんでした。

そして、柊一と新しいスタートを円満に始めるための犯行計画だったのかもしれないとも考えられます。

納得のいく犯行動機ではありました。

しかし・・・・・

犯人の本当の動機と伏線の回収と犯人のトリック

ここからが最後のどんでん返しにつながっていきます。

ラストシーン。

柊一たち6人は鉄扉の前で、出入り口を塞ぐ大岩が地下に落ちるのを待ちわびていました。

そんな時に柊一のスマホが麻衣からの着信を告げます(スマホが圏外ですが、トランシーバーアプリにより通話できました)

麻衣は最後に柊一に言っておきたいことがあると言います。

「今から地下で死ぬことになるのは、私じゃなくて、柊一くんたちなの」

麻衣はなんと出入り口の映像と非常口の映像の配線を入れ替えていたのです。

皆は非常口が土砂で埋もれて脱出できず、出入り口が無事だと思っていました。

しかし、それは逆だったのです。

だから、麻衣が岩を落としても地上に出ることはできません。

ここから出るにはダイビング機材を使って水の溜まった地下3階を通り抜けて非常口から脱出するしかなかったのです。

麻衣は脱出にはダイビング機材が必要だという情報を独占したのです。

麻衣の本当の犯行動機

麻衣にとってモニターの配線を交換しても気づかれないことが一番の肝になります。

そのため、まず裕哉を殺したのです。

裕哉は、以前にも方舟を訪れていて、入れ替えを見抜いてしまうかもしれないからです。

さやかを殺したのは、以前裕哉から方舟の写真を受け取っていたからです。

そのためスマホの中の写真を見られなくする必要があったのです。

また、遺体にナイフを突き立ててナイフを捨てなかった理由は、麻衣は最終的に自分が犯人である証拠としてナイフを役立てようとしていたのです。

矢崎を殺したのは、残り少ないタンクの空気をこれ以上使って欲しくなかったからです。

麻衣は、誰を何人殺しても構わなかった。

どうせ、皆死ぬのだから。

最後の絶望

麻衣はダイビング道具が2つあったので、柊一と一緒に逃げられるように準備をしていました。

最後に柊一が麻衣と一緒に死ぬことを選んでくれたら、二人で逃げようと考えていたのです。

でも、柊一は麻衣を置き去りにして、自分は助かろうとしました。

麻衣は最後に「さよなら」と言って通話が切れました。

小説『方舟』感想(ネタバレなし)

この読後感は一体何なのでしょうか?

息をすることを忘れてしまいそうな、衝撃的な結末です。

しばらく、何も手につきません。

この感覚は最後まで物語を読んだ人にしか味わえません。

一番冷静だった犯人。

極限状態でのこの行動はある意味あっぱれです。

小説『方舟』みんなのレビュー

こんなに怖いと思ってなかった。
ラストで全てが変わる。絶望だった

Amazonカスタマーレビューより

とにかく展開の早さと文章の上手さでラストまで一気に読めます。内容も無駄な部分がほとんどなく、変なひっかけやドタバタもなく一直線。なのでとても良く出来ていると思います。

Amazonカスタマーレビューより

友達に読まなきゃ人生損してる、と言われて読みましたが、本当にその通りでした。最高でした!

Amazonカスタマーレビューより

閉所や暗所での恐怖がじわじわ伝わってくる作品ですが、先を知りたい気持ちが先に勝って読み進める事が出来ました。まさかまさかの展開でエピローグまで結末が予想できず、読み終わった後、怖いのは場所や状況でなく人間だと思いました。

Amazonカスタマーレビューより

閉塞感の息苦しさと黴臭さを感じながら、衝撃のラストならどうせ一番あり得ない人が犯人でしょ、などと勘ぐりながら読んでいくと、最後の最後で見事にやられました。一級のエンターテイメント作品でした!!

Amazonカスタマーレビューより

小説『方舟』はこんな人におすすめ

  • 予想のつかないどんでん返しが待っている小説が好きな人
  • クローズドサークルが好きな人
  • 数々の賞を受賞した話題のミステリーが読みたい人

小説『方舟』Q &A

『方舟』の疑問にお答えします。

小説『方舟』は文庫化している?

『方舟』はまだ文庫化されていません。

文庫化されるまで最短2年はかかるということなので、まだ先になりそうです。

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有栖川有栖、影山徹によるネタバレ解説とは

『方舟』では読者専用のネタバレ解説が用意されています。

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小説『方舟』まとめ

「この衝撃は一生もの」

間違いありません。

読んだ人にしか、極限状態での予想のつかないどんでん返しを知ることはできません。

一読の価値ありです。

コメント

  1. take- noji より:

    こんにちは
    今更ですがわたしもAudibleにて読了いたしました。
    同じですひとりカフェで聴いていたのですがラストで『ウソだろっ!!』と声がでてしまいかなり変な目で見られました。

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