現在日本人にとって、戦争はあまり身近なものではありません。
もちろん身近ではないほうがいいです。
しかし、「知らない」ではいけないと思うのです。
私たちが、「知らない」でいることを気づかせてくれる本や漫画や映画などを通じて、辛いけどちゃんと知っていないといけないと私は思います。
同じ過ちを繰り返さないために・・・。
本記事では、『戦争は女の顔をしていない』のあらすじ、タイトルの意味、感想について私が感じたことや魅力を余すことなく伝えていきますが、
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『戦争は女の顔をしていない』概要
『戦争は女の顔をしていない』は、2015年にノーベル文学賞受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチによるノンフィクション。第二次世界大戦の独ソ戦に従軍した女性たちの聞き取りがまとめられている。
漫画『戦争は女の顔をしていない』は原作小説を元に漫画化されています。
『戦争は女の顔をしていない』は何巻まである?
2023年5月現在、4巻まであります。
原作『戦争は女の顔をしていない』は文庫化されている?
文庫化しています。
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『戦争は女の顔をしていない』あらすじ
「一言で言えば、ここに書かれているのはあの戦争ではない」……500人以上の従軍女性を取材し、その内容から出版を拒否され続けた、ノーベル文学賞受賞作家の主著。『狼と香辛料』小梅けいとによるコミカライズ。
1巻ずつあらすじを紹介します。(ネタバレは含みません)
『戦争は女の顔をしていない』1巻あらすじ
第1話 従軍洗濯部隊政治部部長代理の話
当然洗濯機などない戦地にて洗濯物は全て手洗い、虱が死ぬように強烈な匂いのする石鹸を使用し、そのせいで湿疹ができたり、爪が抜けました。
洗濯物が重くて脱腸になる女の子もいるほどの重労働でした。
第2話 軍医の話
夫とともに戦地に出ましたが、夫は死んでしまいます。
夫を戦地から家に連れて帰りたいと考えますが、皆悲しみのあまり気が狂ったのだと思います。
大切な人を亡くし1人になってしまった悲しみのお話。
第3話 狙撃兵の話
初めて人を撃った時、全身が震えて泣き出してしまいます。
でも、しばらくしてそういう気持ちは無くなりました。
自分の味方が殺されているのを目の当たりにしたからです。
食事もろくにとることができなかったある日、子馬がいました。
撃てばスープにできる一心でしたが、後悔の涙が出るのでした。
第4話 衛生指導員と看護婦の話
必死で負傷兵を助け、背負って運ぶ。
小さな体で必死に戦っている姿が描かれます。
第5話 高射砲兵と通信兵と斥候の話
戦場で生理に悩まされる女性兵士の話。
女性兵士が通った後は赤いシミが砂に残っていました。
穿いているズボンは血が乾ききってガラスのようになり、足が切れてしまいます。
第6話 一等飛行士と航空隊の話
夫は招集され、戦争前に産んだ娘との二人暮らし。
早朝に娘にお粥を与え家に閉じ込め出勤し、帰ってくるとお粥だらけになって娘が待っています。
夫は生きて戻ることはありませんでした。
第7話 書記と機関士と射撃手の話
カメラマンとして戦争に従軍した女性も撮った写真は、戦闘中の写真ではなく、兵士が休息しているところが中心でした。
誰かが亡くなると「彼の写真はない?」と頼まれるので、その人が微笑んでいる写真を探すことも仕事でした。
『戦争は女の顔をしていない』2巻あらすじ
第8話 人間は戦争よりずっと大きい
筆者がなぜ独ソ戦というテーマに向かい合うことにしたのか、それが作者にとってどういう意味を持つのかについて語られています。
第9話 狙撃兵の話
「相手も人間なのだ」という思いに囚われ、それでも引き金を引かねばならない。
自ら志願して入った軍での経験の重い告白です。
第10話 モスクワに向かう汽車の中にて
作者の独白と、名もなき人々との対話が綴られています。
戦争が終わって今ほど時が流れていない時期に取材が行われたため、取材相手がたくさんいました。
やみくもにインタビューしてもキリがないため、女性だけをテーマにしました。
第11話 母のところに戻ったのは私一人だけ
プロホロフカの戦車戦に参加した戦車部隊の衛星指導員の話。
戦車兵を救護する衛生兵は特殊で簡単になれるものではありませんでした。
彼女は車に忍び込んで前線に行き、追い返されそうになっても逃げ回り、最後には現場に着くことになります。
最後は悲しい結末が待っています。
第12話 お母ちゃんお父ちゃんのとこ
2巻では前編が収録されており、後編は3巻へと続きます。
ベラルーシのドイツ軍に占拠された地域の人々への取材をする話。
『戦争は女の顔をしていない』3巻あらすじ
第12話 お母ちゃんお父ちゃんのこと
夫は家に子供達を置いて戦争に行き、二度と帰ってきません。
苦しかったけど女だけで、なんとか生きてきたという話。
第13話 はじめてのメモから(執筆日誌より)
取材当時の作者はまだ若かったが、取材対象の人々はみな老境にあったので、様々な意味でそれが取材に大きく影響しました。
戦争体験という重いものを引き出すのは、苦労もありました。
第14話 パルチザンの斥候の話
ドイツ人は森でパトロールするときに、自身の身を地雷から守るために地元住民を先頭に立たせます。
そのような状況であっても、銃撃を加えなくてはいけないのです。
第15話 准医師の話
戦場の最前線で妊婦が取り残され、子供を取り上げたというお話。
子供は無事に生まれてその医者の名前をもらいましたが、その後は不明です。
第16話 ふと、生きていたいと熱烈に思った
基本的には前線に女性を出したりしないが、何度も志願して熱意で前線に出た女性の話。
前線で負傷した兵士が撃ち殺してくれと懇願しますが、彼女は輸送車を無理やり止まらせ、その負傷者をのせて助けます。
前線で知り合った士官と結婚することになりますが、戦後になってから「戦場帰りの女」として壮絶な差別を受けます。
第17話 子供の入浴とお父さんのようなお母さんについて
子供に会いに帰ると、自分のことが親だと分からずに、石鹸(貴重品)を渡したらそれが何だか分からずに食べようとします。
パルチザンに参加していた医者のそんな暮らしのお話。
『戦争は女の顔をしていない』4巻あらすじ
- 第18話 古い日誌を読んでみる
- 第19話 外科看護婦の話
- 第20話 いまいましい女と五月のバラの花
- 第21話 海軍歩兵大尉の話
- 第22話 斥候の話
- 第23話 建設工兵の話
- 第24話 私たちは銃を撃ってたんじゃない
戦場での恋愛の話が中心となっている4巻。
戦死した兵士を「貴重なイケメンが・・・」と惜しむ女、妻子持ちの将校と戦場で不倫して子を身籠もった女、戦場で結ばれた男に戦後「戦場臭い」と捨てられた女。
戦争が終わって欲しくなかった。
私の青春だった。
戦場にいた人間は特別な人間なのではなく、普通の私たちと同じ人間なのだと感じるエピソードです。
公私ともに戦争に翻弄されてきた女性たちの人生が、ありありと浮かび上がります。
『戦争は女の顔をしていない』タイトルの意味
戦争は女のものではない、武器を持って行くべきものではないということを意味しているだけでなく、戦後、従軍していたことを理由に差別されたり、通常の環境に馴染むことが困難であった従軍女性たちが口を閉ざし、その境遇を伝えることが不可能だったことも意味しているとあります。
『戦争は女の顔をしていない』感想と明言
「幸せって何か」と訊かれるんですか?
私ならこう答えるの
殺された人ばっかり横たわっている中に 生きている人が見つかること・・・
生きていることが当たり前になってしまっていると、生きている人を見つけた時の幸せはなかなか想像できないものです。
そんな壮絶な毎日は、恐ろしさを通り過ぎて、私には考えたくないと思ってしまいます。
恥ずかしいって気持ちは死ぬことより強かった
生理で汚れたズボンを洗い流したいがために、凄まじい爆撃の中でも、一刻も早く河へ行きたかったという場面での言葉です。
水に入ってすっかり洗い流すまで水に浸かっていたら、数人の女の子たちは、水の中で死んでしまったのです。
戦場にいても女なのです。
今まで知らなかった戦争での残酷な場面に、言葉が出ません。
やはり、戦争は「知る」ことが大事です。
知らないと頭では戦争はいけないことだと分かっていても、腹落ちしてない気がします。
「戦争とは何か」この漫画が語ってくれます。
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『戦争は女の顔をしていない』まとめ
私は戦争を経験していません。
でも、戦争のことは知ろうとする義務があると私は思うのです。
本当は、辛い思いになる戦争のことは見たくないし、考えたくないなと思ってしまいますが、時々、こうやって戦争を語ってくれる書籍などに触れることは、幸せに生きて行く上で大事なことなのだと改めて実感しました。
そして、子供達にもそういった機会を持って欲しいなと思います。
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