大人の恋愛の切なさを堪能できる1冊。
いろんなことが複雑に絡み合いながら、自分の人生を見つけていくストーリーに深く共感できます。
大人のしかも40歳前後の恋愛は、若い時のような勢いだけでは何ともならない、いろいろなことが絡みあいます。
この感情にどう納得感を与え、幸せに生きていくのか?
切なすぎるラストに心が震え、どうか幸せに生きてくださいと願うばかりです。
本記事では、『マチネの終わりに』のあらすじと感想、名言、結末の考察について、私が読んで感じた魅力を余すことなく伝えていきますが、
『マチネの終わりに』を全て読めて、『マチネの終わりに』の著者平野啓一郎の映画化されて話題の本『ある男』などの人気本も
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小説『マチネの終わりに』ネタバレなしのあらすじ
たった三度出会った人が、誰よりも深く愛した人だった――
天才ギタリスト・蒔野聡史、国際ジャーナリスト・小峰洋子。
四十代という〝人生の暗い森〟を前に出会った二人の切なすぎる恋の行方を軸に
芸術と生活、父と娘、グローバリズム、生と死など、現代的テーマが重層的に描かれる。
最終ページを閉じるのが惜しい、至高の読書体験。
第2回渡辺淳一文学賞受賞作。
『マチネの終わりに』のあらすじをネタバレなしで紹介します。
蒔野と洋子の出会い
天才クラシックギタリストの蒔野はあるコンサートの後にフランスからやってきた国際ジャーナリストの洋子と出会います。
蒔野が敬愛する映画監督の娘でもある洋子は博識で、二人はすぐに打ち解けます。
惹かれ合う二人でしたが、洋子にはリチャードという婚約者がいました。
蒔野に惹かれながら、リチャードに曖昧な態度をとってしまう洋子は自分に対しても嫌気がさしていました。
そんな時、洋子は仕事で駐在したバクダッドでテロに巻き込まれます。
この出来事はやがて、PTSDという症状として現れてきます。
テロがきっかけで蒔野とのメールのやりとりが滞ってしまっていましたが、蒔野から、フランスに演奏に行くから会おうと言われます。
再開と二人の壁
フランスで再会した蒔野は、洋子に婚約者がいることを知っていましたが、気持ちを抑えることができません。
洋子は蒔野の告白を嬉しく思いますが、蒔野と結婚するとなると、リチャードのことや蒔野と二人で住む場所など、たくさんの問題の壁があることに気づきます。
また、バグダッドで負ったPTSDの症状もあります。
蒔野が日本に帰ってからも、これから自分がどうしたいのか洋子は迷いました。
しかし、最終的には洋子は蒔野に惹かれていることを確信して、リチャードとの関係を清算して日本に行くことを決心するのです。
悲しい意図的なすれ違い
洋子が日本に帰ってくることになりました。
実はこの時蒔野はギターのスランプに陥っていました。
それをそばで見ていたのがマネージャーの三谷です。
三谷は、蒔野のギターに惚れていましたが、それ以上に蒔野自身のことが好きでした。
そのため、三谷は蒔野が洋子に出会ってから良くない方向に向かっていると感じていて、洋子に対して嫉妬心と嫌悪感を持っていました。
洋子を心待ちにしていた蒔野にギターの恩師である祖父江が危篤状態だと連絡が入ります。
慌てる蒔野はタクシーに携帯を忘れてきてしまい、洋子と連絡が取れません。
そして、ここから悲しい意図的なすれ違いが起きてしまいます。
三谷が蒔野になりすまし、嘘のメールを洋子に送ってしまうのです。
お互いはお互いを誤解し、そして忘れようとそれぞれの道を歩みだすのです。
心では決して忘れてはいないのですが・・・。
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小説『マチネの終わりに』ネタバレありの結末とその後を考察
ここからはネタバレを含みますので、これから読むよという方は飛ばしてください。
それぞれの生きる道
蒔野はいつも近くで支えてくれていた、マネージャーの三谷を愛するべき女性だと思い、結婚します。
三谷はとても嬉しく思いますが、いつまでも蒔野と洋子を裏切った罪悪感はあります。
洋子はフランスに帰り、リチャードに謝り二人は結婚します。
ニューヨークで生活を始めた洋子も子供を授かりましたが、結局リチャードの浮気により離婚します。
そして、久しぶりに蒔野の音楽を聞きたくなった洋子は、コンサート会場でお腹の大きな三谷に会い、別れのメールを送ったのは蒔野ではなく三谷であることを知ります。
その後、蒔野も三谷から、洋子に別れのメールを送ったことの謝罪を受けました。
でも、怒りもしないし、別れたりもしません。
もう、全てを受け入れるしかありません。
三谷が蒔野のことを支えてくれたことへの感謝と子供の幸せのために・・・。
最後、ニューヨークでの蒔野のコンサートの後に、蒔野と洋子は公園で再会し、再会を喜びます。
『マチネの終わりに』結末を考察
物語は、蒔野のコンサート後にニューヨークのセントラルパークで再会したところで終わります。
「この後どうなるの〜」
と再開後の物語が気になりますが、どこにも言及されていません。
ここからは、読者の想像にお任せなので、あくまでも私の妄想です。
再会した二人は、きっと会話が弾みお互いの気持ちを確かめ合うのだと思います。
でも、一線は超えません。
二人には守るべき子供がいるからです。
洋子自身が、父親と一緒に過ごすことなく子供時代を過ごし、寂しい想いをしているので子供から親を奪うことは、最もしてはいけないことだと思っているのです。
どんなに愛していても諦めななければいけない愛は、子供の幸せを一番に優先するためです。
私としては、子供がある程度まで大きくなるまで、距離を取り続け、その後結ばれるのではないかと想像しています。
小説『マチネの終わりに』の感想
若い時のように、「好きだ」という気持ちだけで走り続けるような恋愛は大人になるとなかなか成り立ちません。
年齢を重ねれば「結婚」という言葉がお互い意識されるようになり、お互いの人生の方向を決めなくてはいけなかったりします。
小説の中でも、相手のことを心から愛しているという気持ちだけでは前に進めない場面がいくつも出てきます。
大人の恋愛は簡単にはいきません。
様々な要因が絡み合って、好きとか嫌いとかそんな簡単な感情ではどうにも動けない深い深い心情があるのです。
ただただ、切ない。
いろんなことが複雑に絡み合いながら、自分の人生を見つけていき、そこに自分で納得感を添えていくのだなと思いました。
自分は彼を愛しているが故に、彼との愛を断念できるのではあるまいか。
それもまた、年齢的な変化なのだろうか?
それとももともと、愛とは違った何かだったのだろうか?
『マチネの終わりに』より
小説『マチネの終わりに』の名言
蒔野のコンサートを聴きにきた洋子に三谷が言った言葉が印象的でした。
たとえそれが、人として間違っているとしても、正しく生きることが、私の人生の目的じゃないんです。
私の目的は、夫なんです!
・・・だからお願いします。
もう彼の人生に関わらないでください。
『マチネの終わりに』より
絶対に許されないことを三谷はしているのですが、この決意がこの気迫が洋子に伝わり、蒔野を愛しているからこそ、全てを受け入れ去っていきます。
もう一つ心に残っているのが、小説の中に何度か出てくる「未来は過去を変える」という言葉です。
心から愛する人に会ったために、過去への出来事への意味づけも変わってしまうということなのです。
非常に印象的でした。
人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。
だけど、実際は、未来は常に過去を変えているんです。
変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。
過去は、それくらい繊細で感じやすいものじゃないですか?
『マチネの終わりに』より
今ある思い出したくない過去も、素晴らしい出来事で会った過去も、これからの未来によっては、まるで違った過去になってしまうこともあります。
過去は絶対に変えることができないから、全部受け止めて、新しい未来のために考えや心を向けることが大切だと思っていましたが、『マチネの終わりに』を読んでからは、過去は変わっていくのだと強く思うようになりました。
過去を変えてしまう未来もある。
過去を変えるための未来もある。
人生は、何が起きるかわからない、だから、毎日の積み重ねが大切なのだと思います。
小説『マチネの終わりに』の評価。ひどい、怖いの評価を考察
『マチネの終わりに』の評価を紹介します。
人物がそれぞれ一人になった時に感情をあらわにする。
Amazonカスタマーレビューより
その内情は相手に伝わらず、錯綜していく。
あえて、伝えないほうがいいのか当事者になったとしても分からない。
久々に夢中で読んだ小説。
Amazonカスタマーレビューより
読んですぐに、誰かと語り合いたい気持ちになった。この結末で良いのか、という気持ちと、これ以外の、或いはこれ以上の結末はあり得ないという気持ちとが交錯する。
こんなに、運命的な出逢いがあるのか? 久しぶりにであったあつい、心のほと走る愛の物語でした。
Amazonカスタマーレビューより
しかし、5年にも満たない期間で、思いあうのは、まだまだ深い愛とは、思えません。何十年の時を経ても愛し合う、男女が見たかった。
甘い情熱的な恋ではなく、大人の優しさと葛藤と共にある恋。読みながら同時に音楽を聴きたくなる、そして著者の発言にもある通り、何度でも読み返したくなるような内容だった
Amazonカスタマーレビューより
ゆっくり時間が流れていくなかで途中から急展開に驚き、引き込まれていきました。
Amazonカスタマーレビューより
世界情勢も織り込まれ、とてもリアルに感じられます。
大人な二人は真摯で優しく、実在する人物がモデルとあり、こんな魅力的で
素敵な二人が存在するんだと嬉しくもなり、その後はどうなっただろうと読み終わって
しばらく余韻に浸っていました。
大人の切ない恋に感動するレビューが多く見られました。
ひどい、怖いなどの酷評に対しては、小説よりも映画に対するものが多かったです。
美しい言葉の中で情景を想像して読むから感動するのかもしれません。
そして、恋愛に対する価値観の差から、もしかしたら若い人たちにはしっくりこないのかもしれません。
小説『マチネの終わりに』の意味は?実話なのか?モデルはいる?疑問を解決!
ここからは『マチネの終わりに』に対する疑問を解消しています。
『マチネの終わりに』の意味は?
「マチネ」とはフランス語で「午前中」とか「朝」の意味で、コンサートや演劇などの「昼の部」「昼の公演」という意味で使います。
ラストのシーン、昼公演のあとに再会するということを指しているのかなと思います。
『マチネの終わりに』は実話?モデルがいる?
小説の冒頭に、このような一文があります。
彼らにはそれぞれにモデルがいるが、差し障りがあるので、名前を始めとして組織名や出来事の日付など、設定は変更してある。
『マチネの終わりに』より
この物語は実話で、登場人物にはそれぞれモデルがいるのです。
そのモデルが誰なのかはどこにも言及されていません。
ただ、この世に存在する実話であるのだと意識して読むと、また見えてくる物語の世界が変わってきます。
小説『マチネの終わりに』原作と映画の違い
『マチネの終わりに』は2019年に福山雅治、石田ゆり子主演で映画化されています。
原作との違いは、以下のように10個あります。
- 時代の設定が違う
- 洋子の生い立ちが違う
- 洋子の勤務先が違う
- 洋子がテロに巻き込まれる場所が違う
- 社会情勢を取り入れているかいないかが違う
- レコード会社と担当者が変わるところが違う
- 祖父江が亡くなるか生きているかが違う
- 蒔野が長期休養する理由が違う
- 武知文昭(蒔野の知り合いのギタリスト)が登場するかしないかが違う
- 洋子と三谷が会う場面や偽メールの真相の知り方が違う
このように細かな設定に違いが生じています。
ただ、切ない大人の恋愛であることには変わりません。
小説『マチネの終わりに』Amazonで無料で楽しむ方法、Amazon Audibleを紹介!
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小説『マチネの終わりに』まとめ
大人の切ない恋愛に、心が打たれる小説です。
未来の出来事が過去の意味づけも変えてしまう。
複雑に絡み合う運命を受け入れ、自分を生きていく二人に考えさせられることがたくさんあります。
相手を真剣に思うからこそ関係を絶つ・・・涙が溢れます。
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