『川のほとりに立つ者は』(著者:寺地はるな)のあらすじ、ネタバレ解説・考察、感想、レビューを紹介。Amazonで無料で読む方法も!【2023年本屋大賞9位】

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多様性ってよく言われるけど、一体何が多様でどう認め合うことが正解なのだろうか?

『川のほとりに立つ者は』を読むと、登場人物たちの言動に共感しながら、「多様性」について自分なりの答えを見つけることができます。

そして、答えは1つではなく、白か黒かみたいなはっきりした正解の方が少ないことに気づきます。

今よりも人に優しくなれ、もっと生きやすくなる、そんな1冊です。

本記事では、『川のほとりに立つ者は』のあらすじとネタバレ解説・考察、感想について、私が読んで感じた魅力を余すことなく伝えていきますが、

『川のほとりに立つ者は』を全て読めて、本屋大賞を受賞した『汝、星のごとく』、『同志少女よ、敵を撃て』などの人気本も

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『川のほとりに立つ者は』登場人物とあらすじ

カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。
松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。
「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。

『川のほとりに立つ者は』登場人物

主な登場人物を紹介します。

  • 原田清瀬(はらだきよせ):カフェ「クロシェット」の店長をしている。
  • 松木圭太(まつきけいた):清瀬の恋人。清瀬とはすれ違いが続いている。
  • 岩井樹(いわいたつき):松木の子供の頃からの友人。
  • まお:岩井樹の交際相手。岩井家にお世話になっている。
  • 篠井みちる:清瀬の友人。篠ちゃんと呼ばれている。
  • 菅井天音:松木が大学ノートに書いていた名前。
  • 品川さん:カフェ「クロシェット」の従業員。よくトラブルを起こす。

『川のほとりに立つ者は』あらすじ(ネタバレなし)

カフェで働く清瀬は、付き合っていた松木と喧嘩して家を飛び出します。

それからもう半年くらい松木とは会っていません。

喧嘩の原因は松木のある「隠し事」。

2020年7月、そんな清瀬の元に松木が階段から転落し、意識不明の重体だと連絡が入ります。

清瀬は、松木の親に連絡してみますが「関係ない」と言われてしまい、途方にくれます。

階段から転落した時に居合わせたまおによると、松木が殴り合いの喧嘩をしていたのだと言います。

清瀬は、松木が喧嘩をするなんて信じられませんでした。

なぜなら、松木は優しくて素直な人物だと思っていたからです。

私は、松木のことを本当はよく知らないのではないか・・・・。

事故の翌日、清瀬は少しでも何かわかることがあればと松木の部屋を訪れます。

松木の部屋で見つけたものは三冊のノートでした。

この三冊のノートから、松木が隠していたことが分かり、喧嘩の原因も清瀬の誤解だと分かります。

松木と幼馴染の樹、そして樹が恋い焦がれるまお。

それぞれの気持ちが交錯して、少しずつ事件の真相も判明していきます。

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『川のほとりに立つ者は』ネタバレ解説と著者のインタビューを考察

ここからはネタバレを含みますので、未読の方は気をつけてください。

読後のおさらいに読むことをおすすめします。

『川のほとりに立つ者は』結末を解説

松木が隠していたことは、親友のいっちゃん(岩井樹)に文字を教えていたことでした。

いっちゃんは、文字を書くことが苦手で、文字を練習をしていることを他の人に知られたくなかったのです。

この約束を守るために、清瀬にノートのことを問い詰められた時に松木は何も言えなかったのです。

菅井天音(あまねではなくまおと読みます)に好意を抱いているいっちゃんは、気持ちを手紙で伝えたいと思っていました。

だから清瀬が見たノートには「菅井天音」と何度も書かれていたのです。

そんなまおに最終的には、松木もいっちゃんも利用されるハメになってしまったのですが・・・。

まおは、まおの元同棲相手である男が、松木といっちゃんに暴力を振るうように仕向けていたのです。

松木がいっちゃと喧嘩していたというまおの発言は嘘でした。

清瀬にしてみれば、まおは憎い存在でしかないはずなのに、そんな感情は抱きません。

何故なのか。

それは、清瀬の職場の品川さんが関係しています。

品川さんはいつもトラブルばかりで、うんざりしていた清瀬でしたが、品川さんがADHDだということを知ります。

そして、品川さんは障害があると相手に知られた時に、それ相応の対応をされることを嫌だと語ります。

そんな品川さんの思いを知ったことで、清瀬は今までの周囲の人に対する考えを変えていきます。

まおに対してもどうか幸せになってほしいと願い、気持ちを寄り添わせようとします。

意識不明だった松木といっちゃんは無事に退院し、ラストは明日へ向かう希望が感じられ、ホッとします。

川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない。でも、清瀬は水底の石がそれぞれ違うことを知っている。

『川のほとりに立つ者は』より

周りにいる人たちが、どんな人なのかは正確には分からないけど、様々な人が存在していることを知ることが大事。

誰もが、川のほとりに立つ者なのです。

『川のほとりに立つ者は』著者のインタビューを考察

『川のほとりに立つものは』の著者寺地はるなさんのインタビューをもとに考察します。

この小説を書いたきっかけ

著者の子供が漢字の書き取りに時間がかかっている様子を見て、著者自身も小さい頃焦ると鏡文字を書いてしまっていたことを思い出したそうです。

そこからディスレクシァ(識字障害)について調べ、ディスレクシァは人によって様々な出方をすることに興味を持ったことが、この小説を書いたきっかけの1つだと話しています。

1つの障害でも皆同じではないのです。

また、一人の人の中にも様々な矛盾した考えがたくさんあることが自然だということも書きたかったとあります。

障害と多様性について考えさせらることの多い小説だと感じます。

障害について

障害を持つ人は大変だという単純なことではなくて、障害があるということがわかると、その障害の名前でその人を見てしまうということを考えたかったと筆者は話しています。

障害で相手を決めつけるのではなく、分かった気になるのでもなく、ちゃんとコミュニケーションを重ねていかなければならないということが、この本から理解できます。

多様性とは

人は一人一人違うことが当たり前で、こう接することが正解というものもありません。

違うのだということを、「知る」ことが大事なのだと思います。

理解でなくてもよくて、「知る」でいいのです。

親との関係

親の何気ない一言が、子供に大きく影響してしまうことがあります。

いっちゃんの母親は「字なんか書けなくても生きていける」と言いますが、一方でその考えが、いっちゃんの努力を拒んでいると筆者は言います。

また、親の子供に対する謙遜も、子供にとっては傷ついてしまったりします。

親がどう子供に接するかは非常に重要ですが、親の育て方が全てだと思い込むのも傲慢かなと思うと筆者は語ります。

小説の中でも、松木が「俺は親に愛されていないことははっきりわかっていた。だから自分が自分を愛せなくなったらおしまいだ」と言います。

親が与えるものが全てではないのです。

親は親の人生を楽しみ、子供に正直に接することがいいのかなと思いました。

『川のほとりに立つ者は』感想

松木といっちゃんの転落事故の背景に何があったのか?ほんのりミステリー要素も含む『川のほとりに立つ者は』は、隠し事の真実やストーリーだけを追いかけていては、勿体無い小説だなと思いました。

それぞれの人物が持つ考えにちゃんと触れて、自分の周りにもこんなに性格とか考えが違う人がたくさんいるんだということに気づくとが大事だと思います。

そうすると、物語がずっと深くなります。

だからこそ、読んだ人の数だけ心に響くフレーズや場面があり、その違いもひっくるめて、物語なのではと感じました。

『川のほとりに立つ者は』みんなのレビュー

『川のほとりに立つ者は』のレビューを紹介します。

松木さんが言っていた「努力」ということに対する考えも、とても印象に残りました。
ほんとうにいろいろな人がいるのだ、ということを、日々わかっていなくてはならないな、と思います。

Amazonカスタマーレビューより

幸せや正しさも人それぞれ…受け入れられないけれど、あなたはそうなんだねって否定しないことができたら、自分も少し楽に生きられるかもしれない。
読んでそう思いました。

Amazonカスタマーレビューより

細やかな心理描写、いくつもの光景、男女の機微、そして人の思いの純粋さが巧みに描かれてる、中味の濃い作品というのが読後の感想である。

Amazonカスタマーレビューより

人間はあらゆる側面があり、どこまで理解しているのかというテーマもあり、興味深い。読みやすい。

Amazonカスタマーレビューより

日々の人との関わりを見つめ直しながら又日々の生活を生きていく。一言も漏らさずに感じながら考えながら物語が進んでいく。大切に読まさせて頂きました。又繰り返し読みたい一冊です。

Amaoznカスタマーレビューより

『川のほとりに立つ者は』こんな人におすすめ

  • もっと生きやすくなりたい人
  • 優しい気持ちになりたい人
  • 多様性ってなんだろう?と思う人
  • 人間関係に悩んでいる人
  • 恋愛がうまくいかないなと思っている人
  • 本屋大賞ノミネートの話題の作品を読みたい人

『川のほとりに立つ者は』Q&A

ここでは、よくある質問についてお答えします。

『川のほとりに立つ者は』のジャンルは?

ジャンルは「文芸小説」となっています。

試し読みできる?

↑Kindleボタンから電子書籍で試し読みができます。

文庫化している?

『川のほとりに立つ者は』はまだ文庫化されていません。

大体、話題の本が文庫化されるまで2年半から3年ほどかかるため、2022年10月に発売された『川のほとりに立つ者は』は2025年4月以降に文庫化されることが予想されます。

『川のほとりに立つ者は』の作者は?

『川のほとりに立つ者は』の作者は、寺地はるなさんです。

1977年、佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞し、同作でデビュー。
21年、『水を縫う』で第9回河合隼雄物語賞を受賞。
著書に『夜が暗いとはかぎらない』『どうしてわたしはあの子じゃないの』『声の在りか』『ガラスの海を渡る舟』『カレーの時間』などがある。

Amazon著者についてより

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『川のほとりに立ち者は』まとめ

人はみんな違う考えを持ち、人との接し方に正解もない。

それぞれが、自分の答えを得られるそんな1冊だったなと思います。

「明日がよい日でありますように」

毎日、日々大切に色んな人の優しさに触れて生きていきたいです。

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